スポックとウフーラの痴話げんか(“ダークネス”)にカークが巻き込まれるという壮大なスケールのお話。だが、それがいい。

Star Trek Into Darkness (邦題:スター・トレック イントゥ・ダークネス)

昨日はドイツでの公開初日。IMDbによると、なんとアメリカよりヨーロッパの方が公開が早い。日本は8月だって。映画館はよく人が入ってて、いつになく前の方の席しか空いてなかったりした。女性客が結構多くて、主人公達の痴話げんか むにゃむにゃ「人間味溢れる会話」に後ろの方でキャハキャハ笑ってる人が結構いた。ほんと、スポックとウフーラだけじゃなくて、カークとスポック、カークとマッコイの会話もみんな痴話げんか風。ひかる君(ズールー)がその乗りに入り込めずにさびしそうです。

今回の敵、ジョン・ハリソン=ベネディクト・”SHERLOCK”・カンバーバッチは、スポックと少しキャラがかぶってるような。どちらも理知的なイケメン。ジョン・ハリソンがかぶってるんじゃなくて、SHERLOCKのシャーロック・ホームズとスポックがかぶってるんだね。SHERLOCKでカンバっちは、超高速モノローグで推理を語ってみせる。その様子は論理的に迫るスポックそっくり。そのくせ、面白い事件がなくて暇だ、つまらないと嘆いている時や、アイリーン・アドラーに翻弄される様子は、とても人間くさくて、これまたスポックが時折見せる、抑制しきれない感情の動きを思わせる。

うちの奥さんは、元のスタートレックのことは何にも知らない人ですが、この新シリーズのスタートレックの第1作は面白かったそうな。何がよかったの、って聞いたら、スポックが良かったとのこと。スポックが女性受けするらしいので、もう一人同じタイプを出してみました、ってことかもしれない。

スポックの感情と言えば、今回も、色々あって、ちょっと色々ありすぎてスポックのキャラクタ設定が崩れてるんじゃないかと思うくらい。ウフーラとスポックの痴話げんかは、どちらかというとウフーラが一方的に感情的になっていて、スポックは当惑はしているけれど声を荒げたりはしない。だけど、別のシーンではスポックのタガが完全に外れます。嫌ボーンスイッチ入ってたかもしれない。

それにしても、あの痴話げんかシーンはこの映画の最大の見せ場の一つでしょう(真顔)。ウフーラが怒っているのは、
「私に相談もなく勝手に死なないでよ!」
ってことで、スポックの言い分は
「あの惑星を崩壊の危機から救うにはあれしか方法がなかった」
ってことなんですが、ウフーラが言いたいのは
「あなたが死んだら私が悲しむってことを何も考えてないでしょ。私のことなんでどうでもいいのね」
ってことで、惑星の話はしてない。

男としては、惑星崩壊と恋人の気持ちを同列に語られると困るので、スポックにとても同情するんだけど、岡目八目、横からみると話がかみあってないのがよくわかる。スポックの返事が火に油を注いで、ますます燃え盛るウフーラの怒り。そこでスポックが、あの時船長(カーク)もこう言った、みたいなことを言って、カークを巻き込みます。えらいところに飛ぶ火の粉。あわててウフーラに弁解するカーク。わぁわぁ言うております。おあとがよろしいようで。♪ちゃかちゃんりんちゃんりんちゃんりん。

以下ネタバレあり〼。

見るなら読むな。読むなら見るな、とは言わないけど、見てからつまらないと文句言わないでね。

警告はした。では。

ジョン・ハリソンが実はカーンである、というのは、映画見る前にうっかりどこかで読んでしまって、知ってた。痛恨。カーンが正体を明かしたとき、映画館の中で誰かが
「Yes!(よっしゃぁ!)」
と叫んでるのが聞こえた。カーンてのは、スタートレックの以前のシリーズの映画にも出てきた強敵で、遺伝子操作で作り出された強化人間のリーダー。以前のカーンはロッド・スチュワートのような髪型と風貌のロックなおっさんだったのだけど、カークやスポックたちと同様、今回のカーン=カンバっちは一回りか二回り若くなってます。

古い方のスポックが今回もちょっとだけ登場します。新スポックに、カーンに会ったことがあるか、と聞かれて、
「この時間線の発展への干渉を防ぐために、私が別の時間線で経験したことについて詳しく語るわけにはいかない」
というのは予想通り。その後、
「とは言うものの (Having said that)」
と続けて、滔々と語るのも極めて予想通り。ナイス。

カーンの脅威が退けられて、話はエンタープライズが始めて「5年間の調査飛行」に向かうところで終わりますが、おい、クリンゴンとの戦争の危機 はどうなったんだ。カーンがクリンゴンの首都惑星に逃げ込んだので、カークたちはそれを追ってクリンゴンの領域に乗り込み、そこでクリンゴンと戦闘になってます。冷戦時代にアメリカ軍が逃亡犯を追ってこっそりモスクワに侵入し、ソ連の警察と撃合いをやったようなもの。しかも、このせいで戦争が不可避な状況になった、ということを惑星連邦の総司令官(マーカス提督=ピーター・「ロボコップ」・ウェラー!)がスポックに向かって力説するシーンがあります。それを見て、「ああ、次回作へのいい導入だなぁ」と思ってたのに。いきなり戦争でなくても、すくなくとも外交ミッションぐらい起きないとおかしいよ~。

キャロル。ブロンドのバービー人形キャラ。鼻の下が伸びるサービスシーンあり〼。アリス・イブ(なんかすごい名前)って役者さんは、MIB3で、エージェントOの若い頃をやってた人ですね。ブロンドのバービーというのがそもそも60年代的。サービスシーンの写真どこかに落ちてないかなー。

[2014年1月26日追記:日本語字幕付きで見直して、思ったことを別途書きました。]