8月12日の梶が谷
うちの奥さんのお供で、梶が谷までケーキを買いに行った。
店に着いたら休みだった。
夏休み。今日から来週いっぱい休むらしい。
恐るべし8月12日。
仕方がないので駅まで戻った。ホームに上がると、身代わり不動尊の看板が見えた。うちの奥さんは神社とかお寺とかが好きなので、
「ここ行こう」
という。
ケーキを買いに来たのだが、お寺へ行くことになった。
駅から徒歩12分。国道246号を信号で渡る。この辺は急な坂が多い。梶が谷というくらいなので谷なのだろう。どこからどこまでが谷なのかは知らない。246はその谷の上を横切っているようにも見えるし、実際どうなっているのか地図を見てもよく分からない。
坂を歩いていくと、身代わり不動尊があった。
思っていたよりずっと豪勢だった。建物も大きいし、駐車場も広い。駅から歩いてきたが、どうも車で来るところなのかもしれない。
そして寺なのに、飛行機を格納するハンガーみたいな大きな建物がある。
本堂とか寺務所とか、そういうものが建物の中に全部入っているように見える。外から見ると、お寺というより、ここを閉めればかなり大事なものを空襲から守れそうである。
近づいてみた。
休みだった。
ここも今日から夏休み、ということなのかどうかは分からないが、中には入れない。
恐るべし8月12日。
賽銭箱はあったので、お賽銭を入れて手を合わせた。身代わり不動尊まで来て、お不動さんが休みだから帰る、というのも何となく申し訳ない。
駅へ戻る。
ケーキが買えなかったので、どこかでお茶でも飲もうという話になり、奥さんが歩きながらスマホで店を探す。梶が谷になければ鷺沼でもいい。用賀まで行ってもいい。
良さそうな店を見つける。
休み。
次。
休み。
次。
休み。
恐るべし8月12日。
もういいか、となった。
梶が谷駅のホームまで戻り、自動販売機でペットボトルのお茶を一本買った。ベンチに二人で座って飲む。
今日は曇っていて、日差しがきつくない。風がホームを抜けていく。
涼しい。
これはこれでいいねえ、とか言いながら座っていた。
しばらくして、
「あれ、今、電車来なかった?」
来たらしい。
二人とも気がつかなかった。
次の電車には乗った。