渋い、絵になる、美しい。

The Salvation (邦題: 悪党に粛清を―2015年3月8日追記)

お話は、西部劇の王道を行く復讐譚。ちょっと珍しいのは、主人公が北欧系の移民なことか。

7年ぶりに再会した妻と息子を殺されて、すぐさまその仇を撃ち殺したものの、こいつがこの辺りを支配する悪党の弟か何かだったせいで、この悪党に狙われることに。

ストーリーは極めて予想通り。ドイツ語吹き替えで見たので、分からないセリフもあったのだけど、何も困らないくらい先行きの想像がつく。

それでいて、満足感が高いです。

カッコつけているのとは違う。自然体なのに、すでにキマっている。

なんだか、西部劇をこんなに高解像度で見たことはあまりない気がする。西部の荒野は吹き渡る砂で視界をさえぎられているのだけど、にも関わらず景色が奇妙にくっきりとしている。

主役の二人はどちらも寡黙です。ほとんどセリフがない。ヒロインのエヴァ・グリーンなんてほとんど目ぢからだけで演技。目の大きいエヴァならではの技。

マッツ・ミケルセンとエヴァ・グリーンと言えば、007 カジノ・ロワイヤル(デビッド・ニーブンの方じゃなくて、ダニエル・クレイグの方だ)で共演していた二人。マッツはあっちでは悪役だったが、今回は主人公。エヴァはヒロイン=悪党の情婦で出演。

と思ったら、ダニエル・クレイグも出て…来たりはしない。昨日記事にした シェフ といい、これといい、なんかそういうパターン流行ってるのかな。

監督のお友達でいろんな映画撮るってのは珍しくない。クリストファー・ノーラン監督のインセプションに出ていたジョセフ・ゴードン・レヴィットやマリオン・コティヤールが、同じ監督のダークナイト・ライジングにも出てくる、とか。

ただ、こういう場合、脇役は何度も同じ顔ぶれで出てくるけど、主役は入れ替わるものらしい。

この映画の監督は、カジノ・ロワイヤルとは違う人なので、どういうわけでマッツとエヴァの共演がまた起きたのかは、よく分からない。

以下、ネタバレ。

これは、どこかの英語かドイツ語のレビューで読んだ話なのだけど、どこのサイトだったか分からない。

この The Salvation =「救済」という題名は、キリストによる救済を示唆していて、村人に裏切られて悪党につかまり、木の柱につるされる主人公は、弟子に裏切られて十字架にかけられたキリストのメタファー。

村の人々は、保安官を含めて悪党の支配に対して無力。主人公が村に姿を現すと、わらわらと現れて取り押さえ、悪党に突き出す。

その後、弟に救出された半死半生の主人公は、荒れ野に隠されて追っ手の目を逃れ、生き延び、やがて反撃を始める。これはキリストの復活を表す。

そういうわけで、エヴァが演じる悪党の情婦の名は、Madelaine、つまり、マグダラのマリア。

「マグダラのマリアは、イエスの死と復活を見届ける証人」 ( Wikipedia)