磁石とレールとアルミ棒

うちの下の娘が「この問題わかんない」と言って、塾の問題集を持ってきた。

見ると、理科だ。磁石と電流を使った実験の説明がしてある。あー自慢じゃないが分からない。のでさっさと巷のありがたい解説サイトを探して、そこで仕入れた俄か知識で解説を試みる。

「でね、③の場合は電流の回りに磁界がこう発生するので、こっちでは磁界が強め合うし、こっちでは弱めあうので、強い方から弱い方に力が働いて、アルミ棒は、あっちに転がる。だから、答えはウ。で、塾の解説の答は?ほら、合ってる。」

ここまでは良かった。

「同じように④の場合も考えると、電流の回りの磁界はこうなってこうなってこうなるので、今度はこっちに転がる。つまり答えはア。で、塾の答えは? ガーン、合ってない。これもウなの?」

親父の面目丸つぶれ。でも絶対そうだとしか思えない。ので直ちに降参する。

「塾の先生に解説してもらってきて。」

娘は律儀に聞いてみたそうで、先生はちゃんと解説してくれたそうなんだが、娘の理解能力が追いつかず、謎は謎として残った。

よろしい、ならば実験だ。

近所の100円ショップに走り、以下のものを買ってきた。

  • 磁石 25個入り
  • 銅線 直径0.28mm
  • 電池 006P
  • 工作用木材 1mぐらいの角材2本入り
  • アルミ棒の代わりの編み物用かぎ針(アルミ製) - これは結局無駄になった

塾の問題に従って、以下のように配置した。

レール

木材を電車のレールのように2本並べて置く。それぞれの木材の上の面に、木材の長い方向に沿って、銅線をまっすぐ伸ばして貼る。片方の端からは銅線を15cmぐらいはみ出させておいて、後で電池につなげられるようにする。

磁石山盛り

2本の木材の間には磁石を一列に並べる。隣り合う磁石が反発しあうように、つまり、全部同じ極が上を向くようにして置く。磁石の間隔は、磁石が磁力で動き出さない程度になるべく詰める。

レールの上に直角にアルミ棒を置く。軽い力でころころ転がるのを確認する。アルミ棒を置く位置は、並んだ磁石のうち、一番電池に近い磁石の真上(これが③)、またはそれより電池に近い所(これが④)にする。

006Pと銅線

レールからはみ出させた銅線の片方を006Pのマイナス極に巻きつける。

で、いよいよ、反対側のレールからはみ出させた銅線を006Pのプラス極に近づけると...

何も起きない。これ、電流流れてるんだろうか。

かぎ針はメッキされているので、ヤスリでメッキを落としてもう一度やってみる。

「あ、動いた。」

通電すると、少しだけぴくっと動く。電池の電極に火花も飛んだりするので、電流はある。でも、かぎ針は頭のところが非対称なので、転がりにくい。かぎの重いところが一番下になるように転がって落ち着いてしまう。

ここでうちの奥さんが「お正月の祝い箸にアルミ箔巻いてみたら」と案を出す。僕は「えー、そんなのアルミ箔がでこぼこになってなおさら転がらないよ。」と言ったのだけど、他によい案もないのでやってみる。

やっぱりアルミ箔が箸の回りでぶかぶかして、指で押してみても転がる気配無し。だめじゃん。

アルミ箔の棒

が、ここで閃く。アルミ箔を祝い箸に巻いた後、箸を抜くと、棒状に丸まったアルミ箔が残る。これでやってみると...

大成功。上は、磁石の真上にアルミ棒を置いた、③のケース。確かに右に転がっていく。

次が問題の、磁石より電池に近い側にアルミ棒を置いた、④のケース。さてどうなるか。

ほら、やっぱり電池に近い側にころがるじゃん。みんなキュウベエに騙されてる! 塾の解説の答は間違ってる!

しかし、もう少し磁石に近いところから始めると...

アルミ棒は、ためらうように左右に揺れた後、右に転がっていくのであった。

つまり、アルミ棒がどっちに転がるかは、場所による。それもかなり少しの場所の違いで結果が変わる。

一応自分で考えた理屈にも合っている。塾の解説の答も、必ずしも間違いではない。④でアルミ棒を置く場所をあまり細かく示していないので、どっちとは答えにくい問題ではあると思う。

でも、もう塾の問題はどうでもよかった。アルミ棒が転がってくれたので、とても幸せ。親父の面目も取り戻せた、かな?