久しぶりの日本で本屋に行くとつい色々買ってしまう。そんなに読めやしないのに。

気の向くままに買っているのだけど、メルケルさんが表紙の本があると、おっ、と思ってつい買ってしまう。春に買ったのは、これだった。

なぜメルケルは「転向」したのか - ドイツ原子力四〇年戦争の真実 熊谷徹 日経BP社

今回買ってきたのは、これ。

ユーロ破綻 そしてドイツだけが残った 竹森俊平 日経プレミアシリーズ

どちらの本も、結果的に「ドイツってちょっと変だよ」という話になっている。あ、どちらも、決してそういう趣旨の本ではないのだけど、結果的に、という話。

最初の本、原子力の話では、ドイツ人にとって健康や安全が、というよりその裏返しの健康への脅威が、いかに重大な関心事か、という話があって、チェルノブイリの頃も大騒ぎしたこと、それ以来ドイツでは原発政策がずっと大きな議論を呼んできていて、だからこそ、日本の事故をきっかけに、当事者の日本が決めかねているのに、ドイツはあっという間に原発全廃を決めてしまった、という説明があります。そういえば、Google News のドイツ語版には政治、国際、科学技術、スポーツ、エンタメと並んで、健康、という項目があるんだよな。日本版にも英語版にもないよね、そんなの。

今回の本は、まだ読み終わってないのだけど、今年10月9日に出版されたばかりの、欧州危機を分かりやすく、でも結構深く解説した本。ドイツの新聞などで、色々個別のイベントは見聞きするのだけど、全体の流れが分かってありがたかったのと、欧州危機へのユーロの影響には二種類ある、というのが理解できてよかった。

二種類というのは、危機が起きる前に、危機を引き起こすように働く「事前的な問題」と、危機が起きた後に、危機の解決を阻むように働く「事後的な問題」のこと。通貨統合によって、為替変動がないので、国をまたがる投資のリスクが実際より小さいような錯覚を引き起こし、その結果、インフレ気味だったイタリア・スペインにドイツの資本が流れ込むようになって、イタリア・スペインの経済危機をドイツが放っておけなくなった、のが事前的な問題。通貨統合のせいで国ごとに違う金融政策が取れず、各国の状況に応じた対応ができないのが事後的な問題。事後的な方はよく聞くけど、事前的な方は初めて聞いた。

で、傍目にはどうみても、経済統合したんだからユーロ圏内で調子のいい国(=ドイツ)から調子の悪い国(イタリア・スペインなど)に恒常的に支援する仕組みがないではすまないのに、「それだけは嫌」と言い続けて事態をこじらせているのがドイツ、しかもドイツがユーロを守りたいのか壊したいのかが良く分からない、というかドイツ自体も分かってない、という話のようです。

この話だけじゃなくて、この本、色々と目新しい、あまりその辺の新聞ではみかけない論点を、とても分かりやすく説明しています。しかも、色んな論点をばらばらに説明しているのではなくて、本全体を通した流れがある中で、その話の展開に必要な論点を、一つずつ理解していける。上質のミステリやスリラーを読むような感じで、同じ人の本をもっと読みたくなる。