「ゾンビランド」でファンになり、もっと彼女が見たい、と思っていたら、ドイツで DVD が出回り始めたのでいそいそと見たのがこれ。

Easy A 小悪魔はなぜモテる?!

[2011年12月28日 邦題が分かったので追加]

噂を操りスクールカーストを支配する女子高生の話、って言い切ると、ものすごく誤解を招くけれど、一歩引いて遠目に見てみれば、必ずしも間違ってはいないはず。

「百の口からあふれ出た、宇宙に関する千の噂!」

あー、それは別の話だ。15年以上前に見た芝居だ。よかったなー。最近別の劇団が再演してるらしいねー。見たいなー。 …もとい。

以下、マイルドなネタバレ。映画を見るつもりの人が読んでも、そんなに害はないと思いますが、一応。

上で書いた説明が、誤解を招くとしたら、このあたり。

・「噂を操り」 オリーブ=エマが操るのは他人の噂ではなく、自分の評判。しかも、それを地に落とす方向で操る、一種の自爆テロ。で、その目的は…

・「スクールカーストを支配する」 オリーブのお蔭で、それまでゆるぎなく維持されてきた序列の底辺に位置した生徒たちが、突然スターになる。ただ、だんだんオリーブ自身は追い込まれていく。

んー、まだ表現がねじくれてるかな。そういう見方もできるよねってことで。

ちょっと間違うと、なんだか暗い話になりそうなのに、そうなってないのは、分けのわかった大人たちが存在感出してるから。

オリーブの両親は子供達への接し方が完璧。オリーブの弟は(オリーブも?ちょっとセリフが聞き取れなかった)実子ではなく、そのことは秘密でもなく、普段の家族の会話で気軽に話せることになってる。オリーブの学校生活を詮索はしないし、いつでも聞く耳を持っているし、何を聞いても動じない。

ひとがどう思おうと構わないじゃないの (What do you care what other people think?)

たしかファインマンの奥さんがこれを言ったんだよな。

オリーブのお気に入りの先生、グリフィス先生も見ていて気持ちがいい。日本の先生モノドラマにあるような熱血タイプではない。おまけに彼の奥さん=リサ・クードローは#$%^…なので結構複雑な役回りなのだけど、彼も動じない。

大人だけじゃなくて、ずっと好きだった男の子からも一度も疑われないでハッピーエンドってのは、ちょっとお話としては波乱がなさ過ぎて物足りない気もするが、彼からも疑われてドロドロってのもありがち過ぎるからなぁ。目をつぶっておくことにする。

リサ・クードローはフレンズの頃と同じような役柄。「あなたと私と、どっちを皆が信じると思うの?どっち?どっち?どっちよっ!」っと切れた次の瞬間にニコッと笑う。

高校の校長はいかつい顔の白髪の爺さんで、校則を厳格に守らせるのが俺の仕事、という鬼軍曹タイプ。あー、これマルカム・マクダウェルに似てるなぁーと思ってたら、本人でした。 imdb で見てみたら、なんだかここ数年も色んな映画、しかも安そうなのに出まくってるんだね。

この映画、銃も爆発も出てこなくて、社会生活がテーマで、明らかに女性をターゲットにしてる。どうも先日の「君に読む物語」といい、これといい、気に入った女優を追いかけると、気がついたら女性向け映画を見てる。私が草食系だからかなぁ。ヘザー・グレアムはちょっと例外。彼女が ハング・オーバー2に出てないなんてひどいや。

記事のタイトルにしておいて、エマ・ストーンの話をまだ全然してないっ。ゾンビランドは男視点の映画なので、頑張った主人公へのトロフィー的な役どころで、だからこそ私も鼻の下を伸ばして「もっとエマ・ストーンが見たいー」となったのだけど、 “Easy A” では気さくな感じは損なわずに知的な役を演じていて、更にいいなぁと思ってしまった。

ホーソーンの小説「緋文字」が、この映画ではちょっとした役割を果たしていて、学校の宿題で皆が読んで感想文を書いていたりする。で、グリフィス先生がオリーブにいうには

グリフィス先生:「デミ・ムーアの下手なイギリス訛りがどうこういう感想文をいやと言うほど読まされたが、君は原作をちゃんと読んでるな」
オリーブ:「そうですよね。オリジナルの映画の方がいいですよね」
グリフィス先生:「いや、君は本をちゃんと読んだんだろう」
オリーブ:「…そうです」

名作をちゃんと読んでるなんて先生に対してでも認めるのはかっこ悪い、のだけどオリーブはちゃんと読んでるし、グリフィス先生にはそれが分かる。こういう映画が結構受けているというのは、世の中、反知性主義が多数派じゃないってことだと思う。

知的っていっても、コンタクトのジョディ・フォスターみたいな理系っぽい知性というより、(ジョディもそうだと思うけれど)感情や人間関係の扱いに余裕を感じさせる知性。要は「この子賢そうだなぁ」ってこと。もっと色んな映画で見てみたい。